2023年6月6日、新しい資本主義実現会議において「新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2023改訂版案」が決議され、ストックオプションについて以下のように提言されております。
ストックオプションの利用率は日本では10%未満と低い状態です。それを改善するために、会社法上の手続きと税制の見直しが進められています。
米国のような柔軟なストックオプションの発行を日本でも可能にするため、会社法制上の措置が考慮されています。具体的には、新株予約権の発行に関する決定を株主総会から取締役会に委任すること、そしてその委任決議の有効期限が現行の「1年以内」から延長することを検討しています。さらに、新株予約権の発行上限を設定する際に株主総会の決議を必要とする制度も見直しを行う予定です。
税制適格ストックオプションの制度見直しも重要な視点となります。スタートアップにとっては、IPOのタイミングを柔軟に選べるようにすることが重要であり、ストックオプションの権利行使期間を10年から15年に延長しました。さらに、株券の保管委託義務の撤廃や、非公開会社における税制適格ストックオプションの株式保管委託要件の撤廃を検討します。また、スタートアップに限定して社外高度人材への税制適格ストックオプション付与を可能にするため、計画認定の手続負担を緩和する調査も進めています。さらに、スタートアップの人材獲得力向上のため、税制適格ストックオプションの上限額の大幅引き上げや撤廃を検討します。
未上場会社の株価算定ルールの策定も重要な議題です。税制適格ストックオプションの権利行使価額は、契約の締結時の株価を上回ることが必要とされていますが、未上場のスタートアップにとってはその株価の算定が問題になります。このため、売買実例等により算定した価額に加えて、純資産価額方式(会社の総資産の価額から負債等の額を差し引いた価額)による価額を採用することを進めます。また、種類株についても、特別決議を必要とする場合の要件明確化を含めた対策が検討されます。