国税庁は、税制適格ストックオプション(SO)の付与契約時の株価算定ルールを改訂すると発表しました。改訂内容は、「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部を変更する形で、公開意見募集が行われています。募集期間は2023年6月29日までとなっています。
国税庁:「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)等の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施について
この改訂では、税制適格SOの権利行使価額要件に関するルールを明確化します。その一部として、株価を売買の実績等を用いて計算した価格であることを確認し、取引相場がない株式については特定の条件下で、財産評価基本通達の例に基づいた価格を認めることが提案されています。
具体的には、非上場のスタートアップ企業などは、財産評価基本通達の評価方法(類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式)を用いて付与契約時の「1株当たりの価額」を算定できるようになります。これにより、権利行使価額をより低く設定することが可能になります。また、付与契約時の「1株当たりの価額」が財産評価基本通達の評価方法に基づいて算定され、かつそれ以上の権利行使価額が設定されていれば、税制適格SOの要件を満たすこととなり、国税当局による否認のリスクが軽減されます。
これらの改定は、税制適格SOがより活用しやすい状況を生み出すことを目指しています。税制適格SOは、従業員のモチベーション向上や人材確保の手段として、特にスタートアップなどで重要な役割を果たしています。